第三回はこちら。 ajisimidaikon.hatenablog.jp 小林 つまり、荒川さんが最初におっしゃったことに引きつけて言うなら、三つの「場」がある。私は荒川さんとも下條さんとも違う立場ですが、言説を成り立たせている言語の場というものを考えると、これは非常…
前回(第二回)の記事はこちら。 ajisimidaikon.hatenablog.jp Sympathy と Empathy 内海健『自閉症スペクトラムの精神病理』において、共感はASD(自閉症スペクトラム症)者を考えるうえで、定型者のそれと表出の傾向が相違する重要なポイントの一つである…
平和がわたしであるわたしが戦争に反対する。 戦争は平和の対岸にあり、届くことはない。 (戦争は届けることを拒否することをその存在の必要条件とする。「聞き届ける」という言葉はよくできている) 戦争がわたしであるわたしが戦争に反対する。 わたしは…
前回(第一回)の記事はこちら。 ajisimidaikon.hatenablog.jp 真空恐怖、あるいは驚愕と驚異 前回も参照した『アダム・スミス 修辞学・文学講義』には他にもシェイクスピアを批判する文章があるのだが、その中にひっかかりを感じる箇所がある。その部分は訳…
それでは科学者はどこに、詩人はどこにいるのでしょうか。詩人は測り得ないものの座から旅立ち、測り得るものへと旅する人であって、しかしいつも測り得ないものの力を保持している人です。かれはかれの手段である言葉を書くことすら潔しとしません。芸術、…
ずっと歯医者に通っていないとその事自体が悪い方向へ想像力を加速させ(俺の口の中はもはやコンポスト、最終処分場、臭い元気玉、元・口腔、頭部にできた廃坑エトセトラエトセトラ……)、ますます歯医者に行けなくなってしまうわけだが、このたびなぜか機運…
先日街を歩いていたところ、ある施設があり、その掲示板に次のようなポスターが掲示されていた。 土日一斉閉所キャラクター、やすみんさんです。 一目で魅了されてしまった。その様子は以下の通り。 土日一斉閉所キャラクターやすみんさん、「土日は、やすも…
インカメという言葉がこれだけ定着したのだから、インカメ以前のカメラ、すなわちカメラを境界として、撮り手の反対方向を撮影するカメラにも新しい呼称が生まれただろうと思ったが、一つも思い浮かばなかった。「アウトカメラ」とか「背面カメラ」とかがあ…
暴力的なものを利用する笑いについてではなく、笑いの暴力的な利用についてでもない。 笑いそのものがもつ固有の暴力性というものがあるだろうかと考えたとき、笑いが「ゼロへの暴力的な移行」から生まれることに思い当たる。 差異と何の関わりも持たない笑…
振り返っていきます。 末法!MAPPOU! その他、今年発したフレーズ さいごに 末法!MAPPOU! いや凄い。去年も凄かったけど今年も人心の荒廃が加速度的に進行している。もはや末法(MAPPOU)としか言いようがなく、ここまでくると、もうみんな頭がおかしくな…
開催迫る11/11の文フリ東京に刷って持っていこうかと思ったがフリペにするには長すぎるため、ここで公開する。文フリにはこの小説の前後に考えたことをまとめたものを持っていきたい。間に合えば…… パケット・パレット 吐き切った。と、思った。一ミリ秒のs…
数々のことわざ言い回しの中でも「話半分に聞く」の字面の気持ち悪さは頭一つ抜けており、まず「話/半分に聞く」なのか「話半分/に聞く」なのかが気になるしスラッシュしたとて何だその「に」は!そこ「に」か!?という気持ちに整理は付けられない。日本語…
『運命』の冒頭を「タタタターン」などという、明らかに「タタタ/ターン」と3音節単位で分割する想定から来るであろう表記を平然と用いる風潮に対して往時バチギレており(ちょっぴり嘘、なぜなら今でもほんの少しムカついているから)、「タタタターン」じ…
というタイトルにしてブログを書き始める前にふと「狼少年」って本当に「狼少年」だったっけ?との疑問が湧き全幅の信頼を持ってWikipediaを開くと原題は「嘘をつく子供」だという。終わり。 ではなく冷静に考えると俺は手元に角川文庫から出ていた『キリシ…
「きみもクリエイター(クソみたいな語彙)になれる!クリエイター(クソみたいな語彙)になろう!」式に資本から発せられるメッセージは、同志同士の競争過程へと人間を駆り立て、果てしない消耗の中から浮いてくるアガリをはねることを目標に放たれている…
映画『TAR/ター』を観て、まだ映画館でやっていてよかったと思った。 gaga.ne.jp エンドロールから始まるところで男性の声がして、「自然な感じで歌ってごらん」的なことを言っていた気がする(何しろ3時間近くあり、最初の方のセリフや声の質感までは覚え…
今年は体感2年あったけど全然足りてねえ と思った。やりたかったけど出来なかったことが結構ある。映画館にもほとんど行けなかったしよく考えたらアマプラほとんど使わなかった。「観る」がほとんど欠落していたので説得力もなにもどうしようもないけど今年…
一九三六年にSSの幹部たちを前に行った演説で、ヒムラーは「我々は皆かつてどこかで既に出会ったことがあり、同様にして来世においても再会するであろう」と述べている。 横山茂雄『増補 聖別された肉体: オカルト人種論とナチズム』p207、創元社、2020年) …
という結論になったので、以下説明していく。 俺はアンパンマンについて人並みにしか知らないので、ストーリーや設定に絡めて何かを言ったりするのは無理だし他にいくらでも適任がいるだろう。なので俺は遠い未来(そう、1万年後くらい)の人間が初めて「ア…
最近気に入っている註があって、まあタイトル通りではあるのだがとりあえず次の画像を見て頂きたい。 (『本麒麟』350ml 6缶パック、2022/1/28、撮影は引用者) 「うまさ、極める。」と影付き文字で大きく出ているが惹句なのでそれは別にいい。そんなことを…
特に使い回す可能性もないが他に出すところもないし、かといって仕舞ったままにしておくには個人的に惜しいという温度感のあったタイトル通りの応募作品について、全文を掲載した後、雑記が載ります。 『遊弋』伊東黒雲(15枚) 雑記 『遊弋』伊東黒雲(15枚…
なぜチェリーは予定日の一カ月も前から引っ越しの準備を始めるのか。 それはチェリーにとってこの街がうるさいからだ。 何がメディアにそうさせるか 『サイダーのように言葉が湧き上がる』の中では複数のメディアが絡み合っている。メディアはコミュニケーシ…
前口上 例えばこのような物語がある。勝者総取りのゼロサムゲームを企画し、弁舌巧みに登場人物たちを参加させるゲームマスターが存在する。主人公もしくはその対となる人物はルールブレイカー、少なくともルールの穴を追い求める者として設定される。 また…
だらだらと長いよ。 内容はタイトルの通りとなります こんばんは。お久しぶりです。 先日、シンガポール出身のアーティスト、ホー・ツーニェンの展示?『ヴォイス・オブ・ヴォイド』を山口情報芸術センター(YCAM)に観に行って、ここにはその感想が書かれてい…
虚踊は、ある種の人間 普段はのんびりしているがハンドルを握る段になるとからだが強張ってしまう類の が、例えば林檎を剥いている最中に、三角コーナーにおいて発生する現象、とされる(怪異、というには足りない。取り違えられた証拠がここには欠けている…